総報酬制について
給与と賞与に掛かる保険料率が異なるため、年収が同じでも給与と賞与の割合が同じでなければ、負担する保険料に違いが出るという不公平を是正する目的で、総報酬制が導入されることになりました。
1.保険料の徴収について
《概要》
給与、賞与ともに以下の保険料率が適用されるようになります。
厚生年金保険 : 135.8/1000(労使折半→事業主負担:67.9/1000、被保険者負担:67.9/1000)
健康保険 : 82/1000(労使折半→事業主負担:41/1000、被保険者負担:41/1000)
※政府管掌健康保険の場合
《給与から徴収する保険料》
給与から保険料を徴収する方法については、保険料率が変わる以外に大きな変更はありません。
4月分の保険料(通常は5月の給与より控除する分)より、上記の保険料率による保険料を支払います。
ただし、標準報酬算定の時期は従来より1ヶ月早くなります。
《賞与から徴収する保険料》
支払われた賞与については、1,000円未満を切り捨てた額を「標準賞与額」とし、保険料計算の基準とします。
ただし、1回の支払額が上限に達した場合は、上限額を「標準賞与額」とします。
上限額 → 厚生年金保険:150万円、健康保険:200万円
社会保険加入時等に申告した賞与の支払月に、社会保険事務所より「賞与等支払報告書」が送られてきますので、こちらの書面で個人別の標準賞与額を届け出ます。
賞与の支払月を申告していない場合や、申告している月と異なる月に賞与を支払い場合等は、社会保険事務所の窓口や郵送で書面を請求してください。なお、フロッピーディスクでの届出も可能となっております。
4月1日以降に支給される賞与から、新しい保険料率が適用されます。あくまで「支給日」が基準となりますので、例え3月中に未払計上したとしても、実際に支払った日が4月1日以降であれば、新しい乗率が適用されます。
注意を要するのが、被保険者資格喪失日の属する月に支払う賞与からは社会保険料を徴収しないということです。
例えば、6月10日に賞与を支給し6月25日に退職する方からは、当該賞与に関し社会保険料の徴収をしません。
2.保険料率設定の根拠
総報酬制の導入に伴う保険料率の設定自体は、総体的に損も得もないニュートラルな設定を意図しています。
厚生年金保険に関しては、年間の月収総額に対する賞与総額の割合が、統計的に「1:0.3」であることから(厚生労働省「毎月勤労統計」等)、
(17.35%×1+1%×0.3)÷1.3=13.58%
と、算出されています。
それに対して、健康保険は月収総額に対する賞与総額の割合を「12:1.9」ととらえています(政府管掌健康保険の対象は、厚生年金保険に比べて中小企業が多いため)。この比率を基に計算すると、
(8.5%×1+1%×0.15)÷1.15=7.52%
と、なります。
実際に決定した健康保険料率は8.2%ですから、便乗値上げをしたことになります。
3.保険料負担の変化
年収に占める賞与の割合が大きければ、改正後の保険料負担は増えることになります。
【社会保険料会社負担分、年収720万円の場合】
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総報酬制導入前
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総報酬制導入後
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給与月額 60万円支給
賞与 なし |
年間負担額 915,096円
給与分
厚:51,183円、健:25,075円 ×12
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年間負担額 771,012円
給与分
厚:40,061円、健:24,190円 ×12
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給与月額 45万円支給
賞与 90万円を2回支給 |
年間負担額 700,440円
給与分
厚:38,170円、健:18,700円 ×12
賞与分
厚:4,500円、健:4,500円 ×2
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年間負担額 771,012円
給与分
厚:29,876円、健:18,040円 ×12
賞与分
厚:61,110円、健:36,900円 ×2
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※介護保険料は計算に入れていません。
総報酬制導入後に、給与と賞与の割合を変えても保険料負担は変わりません。
ただ、標準報酬月額にも標準賞与額にも上限がありますので、ある程度支給額が多い場合には、組み合わせ次第で保険料が変わる可能性もあります。
4.保険給付の変更
《老齢厚生年金》
今後支給される老齢厚生年金は、総報酬制導入前の期間分と、総報酬制導入後の期間分を分けて計算し、その合計を支給額とします。
平均標準
生年月日に応じて 2003年4月前の
導入前・・・報酬月額※1 × 9.5 〜7.125/1000 × 被保険者期間の月数 × スライド率
平均標準
生年月日に応じて 2003年4月以後の
導入後・・・報酬額※2 × 7.308〜5.481/1000 × 被保険者期間の月数 × スライド率
※1 各月の標準報酬月額に再評価率を乗じたものの総合計/被保険者期間の月数
※2 各月の標準報酬月額に再評価率を乗じたものと各ボーナス額に再評価率を乗じたものの総合計/被保険者期間の月数
《障害厚生年金、遺族厚生年金》
老齢厚生年金の変更に準じて、総報酬制導入前の期間分と、総報酬制導入後の期間分を分けて計算し、その合計を支給額とします。
《在職老齢年金》
「標準報酬月額」ではなく、「総報酬月額相当額」を基準とした計算方法に変わります。
「総報酬月額相当額」とは、標準報酬月額にその月以前の1年間に受けた標準賞与額の総額を12で除した額を合計した額のことです。
《健康保険》
健康保険の給付内容については、総報酬制の導入による変更はありません。
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